現代人の多くは隠れ栄養不足なのをご存じでしょうか?
この飽食の時代に栄養不足?とお思いの方も少なくないと思います。
おなかに脂肪がついているから私は栄養が足りていると思うのは早計です。
脂肪が多いのと細胞レベルでの栄養状態は別ものです。
脂肪がつく原因はパンや麺類などの炭水化物の摂り過ぎが原因です。
パンや麺類には妊娠に必要な鉄、亜鉛、タン白質、各種ビタミンが殆ど含まれていません。ぽっちゃりしている人でも栄養不足の場合が多いのですから、小食の人はなおさら深刻です。NHKでも「丸の内のOLが飢餓状態」などと銘打った特集を組んだりするくらいです。ある調査結果で、丸の内のOLは、昭和の戦後直後よりも栄養状態が悪く飢餓状態だったそうです。出勤の準備に時間をとられて朝食を食べない、昼食も仕事をしながら軽くつまめるものを食べる、夜は仕事で疲れているのでコンビニなどで惣菜を買ってすませる、といった食生活をしている方が働く独身女性に少なくないそうです。
栄養欠損になるその他の要因として不適切なダイエットが挙げられます。
女性なら一度は誰しもダイエットをしたことがあるのではないでしょうか?モデルのようなスリムな身体に憧れて無理なダイエットをして月経が停止したという患者さんも少なくありません。
人間の身体は全て食べた栄養でできています。女性ホルモン、受精卵が着床する子宮内膜、精子も当然栄養でできますが、不適切な食事(炭水化物中心、マクロビ、小食)で妊娠に必要な栄養が大幅に不足してしまいます。受精するにはエネルギーが必要ですが、エネルギーを作るミトコンドリアも栄養でできていますし、エネルギーを産生するにもビタミンB群、ビタミンC、カルニチン、CoQ10などの栄養が欠かせません。
不妊治療によかれと思ってマクロビ(菜食主義)をされている方がいます。
しかし、マクロビは妊娠を遠ざけてしまっているのです。
妊娠に必要な栄養素は色々ありますが、なかでもタン白質、鉄、亜鉛などが特に重要です。
ほうれん草などの植物性の鉄は非ヘム鉄なので殆ど吸収されません。
また大豆にはタン白質が豊富と言われていますが、メチオニンという必須アミノ酸の配合量が少ないのでアミノ酸の利用効率が悪いです。ちなみに理想的なタン白源は卵でプロテインスコア100です。
また、玄米が身体によいと思い込んで食べている方が多いですが、玄米に含まれているフィチン酸という繊維が亜鉛、カルシウム、鉄などのミネラルを吸着して体内に吸収されず便と一緒に排泄されてしまいます。
人間は草食動物ではないので、肉・魚・卵・野菜などを万遍なく食べるのがよいですが、特に妊娠に必要な栄養素は肉・魚・卵に多く含まれているので妊活時期にはこれらを積極的に食べてください。