脳内の栄養不足がうつの原因
脳内でさまざまな神経伝達物質やホルモンが合成されます。
人間の身体は全て食べた栄養から成り立っています。内臓、皮膚、骨はもちろん、神経伝達物質や脳内ホルモンも全て栄養からつくられます。脳細胞の理想的な栄養濃度の閾値は狭く、栄養不足による影響を受けやすい臓器と言えます。ですから、ちょっとした栄養不足で様々な症状が生じてきます。
セロトニンという心を安定させる神経伝達物質が不足するとうつになりますが、セロトニンは、必須アミノ酸を材料にしてナイアシン・ビタミンB6・鉄・マグネシウムなどの協力を得て合成されます。これらの栄養素のいずれかが欠けてもいけません。
特に鉄は女性の場合、月経の影響で大半の方が鉄欠乏に傾いています。
さらに不適切な食事(マクロビやジャンクフードばかり食べる)にタン白質や鉄の不足が顕著になります。
有経女性のうつ症状の大半は背景に栄養不足があると言っても過言ではありません。
女性に限らず、小児〜高校生の成長期の男子も身長の伸びが急な場合、循環血液量の増加や骨の成長に伴い、多くの鉄を必要とするので鉄欠乏状態になっている場合があります。逆に男性のうつは、栄養欠損ではなく社会的なストレスが原因の場合が多いと感じます。
鉄不足による症状は下記のように多岐に渡りますので、よく精神疾患に誤診されてしまいます。またコラーゲン、粘膜、エネルギーを産生するミトコンドリアの材料としても重要なので、鉄不足で粘膜トラブル、むくみ、朝起きられない、すぐ疲れる、といった症状もよく見られます。
うつに対して処方されるSSRIという薬はセロトニンの取り込みを阻害して脳内のセロトニン濃度を維持する薬ですが、そもそもタン白質や鉄などのセロトニンの材料が枯渇しているとセロトニン自体がちゃんと合成されませんから薬も効きません。また鉄は薬を解毒する酵素の材料としても重要な役割を持っていますので、鉄不足の方は薬の代謝が正常に行われず副作用が出現しやすくもなります。また、抗うつ剤には自殺企図という恐い副作用もあります。きちんと診断されずにいきなり抗うつ剤を飲むのは非常に危険です。
脳内の栄養不足が原因で起きているうつ症状には、治療用のヘム鉄、ビタミンB群、プロテインなど栄養素の摂取で劇的に改善します。
鉄などの栄養素は元々細胞を構成する成分(生体内物質)なので薬のように異物(生体内に存在しない分子)と違い解毒排泄する必要がなく副作用の心配もありません。
鉄の不足を正確に診断するには貯蔵鉄を測定する必要がありますが、一般的な血液検査ではヘモグロビンと血清鉄ぐらいしか調べません。たとえ貯蔵鉄を測定したとしても基準値内におさまっていれば鉄不足はないと診断されてしまいます。女性の貯蔵鉄の基準値は5~152ng/ml(gdmクリニックが委託する検査会社)と幅が広いのですが、これは基準値というものが検査した人の95%が含まれるように設定されているためです。この幅の広い基準値を医師が正常値と勘違いしていることが鉄欠乏を見逃してしまう原因なのです。基準値の平均値未満の場合は鉄不足と考えるべきです。ちなみに私の貯蔵鉄量は250ng/mlほどあります。成人男性の場合100~300ng/mlあるのが一般的です。