栄養療法でうつ治療された方の事例

カルテ1:大学の総合診療科を紹介されるも原因不明のまま治療されていなかったAさん

微熱、倦怠感、息切れ、疲労感、めまい、頭痛、腹痛などの様々な症状に悩まされていた会社員のAさんは近くの内科を受診しました。
血液検査の結果は特に原因となるような異常を認められなかったそうですが、症状が強いこともあり大学の総合診療科を紹介されました。大学病院でも膠原病などの詳しい血液検査や胃や大腸内視鏡検査を行いましたが、軽度の貧血を指摘されるのみでした。貧血も軽度なので特に鉄剤の処方もなくただ定期的に血液検査をするだけでした。

なんの処置もしないのですから当然症状は改善せず、ついに休職することになってしまいました。困り果てたAさんは、ネットで検索し分子整合栄養療法に辿りついてgdmクリニックを受診されました。血液検査で貯蔵鉄の枯渇、副腎皮質で産生されるDHEA-S値の低下、ビタミンB群やタン白質の不足を認めました。典型的な栄養欠損による症状と思われましたので治療は簡単でした。治療用のヘム鉄、ビタミンB群、ナイアシン、ビタミンCなどの摂取を行うと速やかに症状は改善しました。

カルテ2:栄養療法で登校できるようになったBさん

高校生のBさんは、頭痛・めまい・微熱・疲労感・朝起きられない、などの症状が出現し、徐々に症状が悪化してきました。
近くの病院を受診し、血液検査・脳のMRI検査・髄液検査などをしましたが、いずれの検査結果にも異常が見あたりませんでした。結局「うつ病」と診断されて、抗うつ剤を処方されました。しかし症状がよくなるどころか、吐き気までもよおすようになったので薬の副作用を疑われ服薬はすぐに中止になりました。その後も症状が続くため複数の医療機関を受診しましたが、「慢性疲労症候群」や「起立性調節障害」と診断され、漢方薬や昇圧剤などが処方されました。しかしそれでも、Aさんの症状は一向に改善せず、ついに高校を休学することになってしまいました。

ご家族がなんとか改善できる治療方法はないかと調べた末に、gdmクリニックに相談に来られました。分子整合栄養医学的な血液検査をすると、ヘモグロビンの値は基準値内にありましたが、貯蔵鉄の値が測定不能なくらい低値でした。その他にタン白質・ビタミンB群不足や低血糖も認められました。1日48ミリグラムのヘム鉄とともにタン白質、ビタミンB群などの処方を開始しましたが、1ヵ月経った時点で、まだ症状の改善が見られないと言うので再度血液検査を行なったところ、貯蔵鉄の上昇が見られませんでしたので、ヘム鉄を一日あたり72ミリグラムに増量しました。すると1ヵ月後の血液検査で貯蔵鉄の上昇を認め、それにともない、めまいやふらつきなどの症状が軽減してきました。

その後も、栄養療法を続けていくと、やがて朝起きられるようなり、めまい・頭痛・微熱といった症状も治まり、ついに学校に通えるまでに回復し、無事大学にも合格されました。

コラム摂取する量が重要

先述のBさんのようにヘム鉄を1日48mgも摂れば、普通の人は貯蔵鉄の値は増えます。しかし、消化や吸収の能力の差、精神状態(副交感神経が優位になっていないと消化吸収がうまくいかない)などの影響で同じ量を摂っても治療効果に差がでてきます。ですから鉄不足には一律この量を飲めばいいと言う基準はなく、とにかくデータが改善するまで摂取量を増やすこと(容量依存性に効果を発揮する)が重要になってきます。薬の場合は異物なので解毒排泄しないので過剰摂取は危険な場合がありますが、ヘム鉄は生体内分子なのでたくさん摂取したからと言って薬のような副作用は起きません。