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意外と多い低血糖症

頭痛、アトピー性皮膚炎、倦怠感・起立性調節障害などの訴えで受診される方が多いです。症状は違えども共通して言えるのが低血糖症が背景にあるということです。
成人でアトピー性皮膚炎を発症した場合、何か誘因となるようなことがあるので詳しく問診してみると、コロナ渦で家にこもりがちになりコーラの大(1.5リットル)を2日に1本のペースで毎日飲んでいた、という人がいました。糖を大量に摂取すると血糖が急上昇してそれに呼応してインスリンが大量に分泌され低血糖になります。低血糖になると脳の維持ができなくなるので副腎が頑張って血糖を上げるホルモン(アドレナリンやノルアドレナリン)を分泌します。毎日副腎に負担をかけているとステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)を分泌する力がそがれています。また糖の処理にビタミンB群が消耗、インスリン分泌に亜鉛が消耗されますが、ビタミンB群や亜鉛は皮膚健全化に欠かせません。糖を摂りすぎると腸内細菌叢も乱れますが、腸内細菌叢の乱れは皮膚炎悪化の因子になります。
低下した血糖を上げるために分泌されるアドレナリン・ノルアドレナリンは交感神経緊張系のホルモンなので血管を収縮させますので頭痛を引き起こします。女性の頭痛は鉄欠乏が主な原因ですが、男性の頭痛は低血糖症が原因のことが多いです。元気をだすためにエネジードリンク・栄養ドリンク・スポーツドリンクを大量に摂取している男性が結構います。本人的には身体にいいと思って飲んでいるのですが、これが不調に原因になっているのに気が付いていません。
朝ぐったりしてなかなか起きられない・倦怠感が強いという80代の高齢女性も原因は低血糖でした。甲状腺機能低下や鉄欠乏を最初は疑っていましたが、家族の人によくよく話をきくとコーラを毎日大量に飲む・寝る前にアンパンを食べる、3度の食事はあまり食べない、という食習慣でした。高齢女性は若い人のように糖を摂らず和食を食べているのではという先入観があったので最初は低血糖を疑っていませんでした。
いわゆる起立性調節障害(血圧が低い、朝起きられない、だるい、といった症状)の場合は成長に伴う鉄などの栄養欠損が原因ですが、成長期のピークを過ぎていて鉄の貯金はさほど低くない子の場合、低血糖症が原因であることが非常に多いです。夏休みに夜アイスや炭酸飲料を毎日飲んで低血糖症を発症して2学期から登校できないという子が多いです。
料理に使う程度の量の砂糖はさほど問題になりませんが、ジュースやアイス、菓子パンなどに含まれる糖質はびっくりするくらいの量が入っています。砂糖の入ったものを控える、3食タン白質を食べる、といった普通の食生活をすれば医者の世話になることなく多くの不調が解消するはずです。