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鉄にこだわりすぎないで

朝起きられない(起立性調節障害というへんな診断名)最大の原因は鉄欠乏です。思春期は骨や筋肉の成長が非常に盛んなので鉄などの栄養素が大量に使われ栄養欠損に陥ります。鉄はエネルギー産生に必要なので、鉄欠乏になると力がでません。血圧の調節するにもエネルギーが必要なので血圧が下がります。鉄欠乏が原因の場合、適切な量のヘム鉄摂取で劇的に症状が改善します。適切な量というのがミソで、鉄は吸収されにくい栄養素で吸収率に個人差がかなりあるので、鉄の貯金が増える摂取量にかなり幅があるのです。
しかし、鉄欠乏が原因でない生徒も結構います。鉄の貯金がさほど少なくないのに朝起きられないのは他に原因があると考えないといけません。機能性低血糖症・スマホ夜更かし・精神的なもの、などが原因として考えられます。頻度として多いのが機能性低血糖症です。しかし、私のブログを読んで朝起きられないのは鉄欠乏のせいだと思い込んでいる親御さんが時々います。鉄の貯金が低くなく血糖値に問題がありそうな生徒さんの場合、「機能性低血糖症を疑うので専門の医療機関の受診してください」と親御さんに勧めてもなかなか機能性低血糖症のことを受け入れようとしません。逆もあります。明らかな鉄欠乏があるのに途中で治療を止める親御さんがいます。最初の方に書きましたが、鉄の吸収が悪い子の場合、なかなか鉄の貯金が増えません。鉄の貯金が増えないと症状は改善しません。鉄の摂取量を1.5倍にすると一気に増えてきますので、鉄の貯金が低い場合は諦めずに鉄の摂取を行ってほしいのです。
血液データの結果をもとに治療方針を決めていますので、先入観にとらわれることなくデータに応じた治療をお受けになるようにしてください。