葉酸は妊娠前から

妊娠12週までが器官形成期といって、赤ちゃんの中枢神経が形成され、心臓などの臓器や目、手足などの重要な器官が作られる時期です。薬や放射線による影響を敏感に受ける時期なので注意が必要です。妊娠には葉酸が必要というのはみなさんもご存じだと思います。患者さんの中にも妊娠が判明して慌てて葉酸を飲み始める人がいますが、それではちょっと遅いのです。葉酸不足で生じる「神経管閉鎖障害」は、脳や脊髄などの中枢神経系のもととなる神経管が作られる妊娠の4～5週ごろに発生します。生理が遅れ妊娠かもと思い産婦人科を受診して妊娠が判明するのは妊娠5週目以降になることが多く、葉酸が最も必要とされる妊娠4～5週を過ぎているのです。ですから、妊娠する前から葉酸を摂取しておかないといけません。
葉酸も妊娠初期には重要ですが、妊娠中期から後期にかけてタン白質、鉄、亜鉛、ビタミンＢ群などの需要が増してきます。つわりになると数週間～数か月の間食欲が湧かずなかなか思うように食べられませんので先ほど書いた赤ちゃんの成長に必要な栄養が大幅に不足してしまう人が少なくありません。ですから妊娠前から鉄、亜鉛、ビタミンなどをしっかり摂って貯金を蓄えておく必要があります。妊娠はゴールではなくスタートです。妊娠前からの準備が非常に重要です。