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焦らずに

栄養療法は、細胞の栄養濃度が正常に戻ってきて初めて治療効果がでてきます。ドーズレスポンスと言って摂取する量がある一定量を超えると治療効果がでます。そのために、摂取する量が重要になります。また吸収に個人差があるので同じ量を飲んでも効果がでる時間も人によって違います。薬は症状を抑える対症療法なので飲めば早期に症状は治まります。しかし、栄養療法は細胞の栄養濃度が正常化するまでに時間がかかります。たまに3週間ほどで症状が改善する人がいますが、1~2か月ほど時間がかかるのが一般的です。起立性調節障害のお子さんの親御さんは、早く子供が元気に登校してもらいたいという気持ちが強いのですぐに症状がよくならないと焦ります。そしてネットで変な情報を検索して他の医療機関を受診する人もいます。
鉄の吸収は個人差があるので、人の1.5倍ほど飲んで初めて鉄の貯金が上がってくる子もいます。症状が改善しない場合は、①摂取量を増やす、②血液の再検査を早めにして鉄の貯金が増えているかどうかを確かめる、などを行います。鉄の貯金が増えていても症状が改善していない場合は、鉄欠乏以外に原因があると考え(多くの場合機能性低血糖症)食事療法を厳格に行ってもらったり、専門機関に紹介したり、ということになります。
鉄の貯金が明らかに低い児童・生徒さんはよくなる余地が十分あります。もう少し栄養摂取を続ければよくなるのにな、ここで諦めるのはもったいないなと思うことも時々あります。ですから焦らずにまずは2~3ケ月は処方案通りに栄養素を飲んでいただけたらと思います。