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つわり

つわりは妊娠中の母親が胎盤を通じて胎児から受けとる成長分化因子15 :GDF15(Growth Differentiation Factor 15)というホルモンに関連しているという研究論文が、英科学誌『Nature』に掲載されました。多くの妊婦さん(約70%)がつわり(悪心や嘔吐)の症状を訴えますが、一部で重症化して、妊娠悪阻(おそ)を発症し、長期間入院し経口摂取できずに点滴を受けなければならい人もいます。妊娠悪阻の症状が強いとまともに食べられませんので赤ちゃんは栄養不足になり早産や低体重児のリスクがたかまります。母体血漿中を循環するGDF15の大部分が胎児が産生したもので、妊娠前のGDF15値が低いほど、妊娠悪阻の発症リスクが高くなることも判明しました。逆を言うと妊娠前にGDF15値が高ければつわりの症状がでにくくなります。GDF15は誰しも体内で産生しており、その血中濃度は、加齢・激しい運動・がん・喫煙・メトホルミンという糖尿病の薬などで高くなることが分かっています。そしてGDF15が高い人は総死亡リスクが高いという報告もあります。つわりは困りますが、つわり軽減のために激しい運動をする・がんに罹患する・喫煙する・メトホルミンという糖尿病の薬の摂取する、といったこともしたくないですし、年をとって総死亡リスクが高い状態になるのもいやです。妊娠前だけGDF15を高くし、出産後は値を下げるのが理想です。GDF15も栄養でできているのでどうすればGDF15を一時的に増やせるかを調べてみたいと思います。