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本書いたりTVによく取り上げられたりしているW先生(灘高校・東大医学部卒の精神科医)の発言が最近医者の間で物議を醸しています。手術を担当する外科医に「失敗したら絶対に訴えてくる思わせる」、「するどい質問をして舐められないようにする」ことを患者さんに推奨し、外科医の反感を買っています。手術する外科医と患者さんの間に信頼関係がないとよい治療をすることは難しくなり、結果患者さんに不利になることもあるでしょう。またW先生自身が糖尿病で血糖値を200~300mg/dlくらいと高めにコントロールしているそうで(理由は糖尿病の人は糖尿病でない人に比べ、アルツハイマー病の発症率が3分の1にとどまっていたというある調査結果があるからだそうです)、「血糖は高いより低いほうがよほど危ない」、とも本に書かれているそうです。医学的知識の乏しい患者は、自分の都合のいいようにこういった情報を解釈して適切な治療を受けなくなる危険性があります。私もインスリンをまだつかわなくてもいいのにと思うケースは多々ありますし、薬が効きしぎて低血糖に頻回になると血管障害の原因になるので、マイルドな血糖コントロール(血糖値200mg/dl以下)にして合併症予防に注力すべきだと思っています。と言いますのも、糖尿病は活性酸素を発生させ血管を傷害することが怖いのです。具体的には網膜症・腎不全・脳梗塞などの血管障害を引き起こします。ですから抗酸化アプローチが糖尿病合併症予防には欠かせないのです。
奇抜なことを言ったり本に書いたりすると世間やマスコミの注目を浴びやすくなるかもしれませんが、それは科学者がすべきことではありません。正しい情報を提供し、患者さんの健康を守るのが医者の務めではないかと思う次第であります。