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gdmクリニックを受診される前に、ほかの医療機関を既に受診されて一般的な血液検査を既に受けられている方が少なくありません。検査をしても異常なしとと言われても、お困りの症状があるのでみなさん困り果ててインターネットでいろいろと検索され、やっと栄養療法の存在を知るわけです。初診の際には、ほかの医療機関で受けた検査結果を持ってきていただくようにしています。検査結果の紙に、患者さんに結果説明するために医師が書いたと思われる手書きの文字をよく見かけます。GOT、GPTの横に肝機能、LDL-コレステロールの横に「悪玉コレステロール」、CRPの横に炎症、などがよく書き込まれています。GOT、GPTを肝機能を見る項目というのはあまり正しくありません。GOT、GPTは肝臓の細胞に多く含まれている酵素(筋肉などにも含まれていますが)なので、GOT↑、GPT↑だと肝細胞がウイルス感染、脂肪蓄積などによって壊されているので、肝細胞に多く含まれているGOTやGPTが血中に多く漏れ出している=肝細胞の炎症と考えるべきです。LDLーコレステロールを悪玉コレステロールと書いているのを見ると、勉強不足の医者だなと呆れるのを通り越して憐みすら感じてしまいます。LDLーコレステロールは性ホルモン、副腎皮質ホルモン、細胞膜などの材料としてなくてはならない非常に重要な栄養素です。コレステロールなくしては生きていけません。ただ、LDL-コレステロールは酸化されやすい脂質なので、酸化されると動脈硬化の一因になるのは事実です。LDL-コレステロールが200mg/dl以上あっても心筋梗塞などの動脈硬化疾患にならない人はたくさんいます。要はコレステロールが酸化されないようにすれば何の問題もおきないのです。逆にコレステロール値が低くても心筋梗塞になる人も少なくありません。それは動脈硬化の原因が、ホモシステイン、感染、糖尿病などによるものだからです。これらは一見関連性がないように思われますが、すべて活性酸素を発生させる(酸化)ものです。つまり、酸化が諸悪の根源なのです。
LDL-コレステロール値の基準値にも問題があります。血液検査項目の基準値の多くは平均値の±標準偏差の2倍で決められますが、総コレステロール、LDL-コレステロールは学会の偉い先生方が決めたものなので基準が厳しすぎます。そして多くの真面目で素直な?医者は、基準値を超えると動脈硬化になって心筋梗塞、脳梗塞になるので薬を飲みなさい、といってスタチン系(肝臓でのコレステロールの合成を阻害する薬、コレステロールだけでなく大事なコエンザイムQ10の合成も阻害します)の薬を処方します。
疫学的にも総コレステロール値が260mg/dl前後くらいの人に健康長寿の人が多いという報告もたくさんあります。極端にコレステロール値が高い、身内にコレステロール値が高く心筋梗塞になった人がいる、といった場合はスタチン系の薬を使わないといけないこともあります。ただ、今の医療現場では「悪玉コレステロール」という脅し文句で安易に患者さんに薬を飲ませているケースが多いと思います。
コレステロールは細胞膜の材料に欠かせません。コレステロールが低いと細胞膜が脆弱になり、いろいろな病気の原因にもなります。分子整合栄養医学では、コレステロールはやや高めくらいの方がよいのであまり薬で下げすぎないようにした方がよいと考えています。強い薬で下げることよりも重要なので脂質を酸化させないことです。トコトリエノール、ビタミンB、EPA、歯周病改善などで動脈硬化を予防する方が安全で効果的です。