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フェリチンの基準値

血液検査報告書には検査した人の数値とその横に基準範囲というものが記載されています。基準範囲を正常範囲と勘違いしている医師がお多いですが、基準範囲は非常に幅が広く、基本的に検査した母集団の95%が入るように設定されています。つまり、基準範囲から外れるのは下位の2.5%の人と上位2・5%の人だけになります。特に問題なのがフェリチンの基準範囲です。検査会社によって基準範囲は多少違ってきますが、gdmクリニックが委託する検査会社の基準値は、男性が13~277ng/mlで女性が5~152ng/mlになっています。とにかく幅が広すぎるのです。フェリチン5ng/mlとフェリチン100ng/mlとでは月とすっぽん位の差がありますが、両者とも基準範囲内に入っているので同じ扱いをされることが殆どです。女性でフェリチンが低いのは、成長期の子供か生理で鉄を失う世代で、高いのは閉経して何年も経った世代です。欧米のフェリチンの基準値はもっと高いそうで、25ng/ml以上という話を聞いたことがあります。またアメリカでは「フェリチン値40ng/mlでは妊娠してはいけない」とも言われているそうです。
鉄は、血液の材料としてだけでなく、エネルギー産生やコラーゲン・心を安定させる脳内神経伝達物質セロトニン・活性酸素を消去してくれるカタラーゼなどの合成に欠かせません。植物性の鉄は吸収率が非常に悪く、健康によかれと思って肉を避けて野菜ばかり食べているベジタリアンは鉄欠乏に陥りやすくなります。逆に、鉄を摂るためにアメリカ製のキレート鉄を飲んでいる人が最近増えていますが、フェリチンが大幅に増えすぎている人がいます。鉄の摂取は赤み肉・レバーもしくはヘム鉄サプリメントで行ってください。
基準範囲内に入っているから「異常なし」と短絡的に診断されている人も少なくないと思います。異常なしと診断されても体調不良が続く場合は診たて違いの可能性がありますので、是非ご相談ください。