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今年の夏の甲子園(第105回全国高校野球選手権記念大会)では慶應義塾高校が優勝しました。慶應の野球部員は、高校球児に多い丸刈りではなく普通の髪型であることが注目されました。その他にも慶應の特色として「長時間練習しない」「エンジョイ・ベースボール」などがあります。また慶應の森林監督は選手たちに自分のことを「監督」ではなく「森林さん」と呼ばせているそうです。このたびの優勝で、3年前に出版した「森林さん」の「Thinking Baseballーー慶應義塾高校が目指す”野球を通じて引き出す価値”」が今回の優勝で一気に注目を浴び重版が決まったそうです。
「Thinking Baseballーー慶應義塾高校が目指す”野球を通じて引き出す価値”」の目次の中で私が気になったタイトルを抜粋しま。
■高校野球のためではなく、社会に出てからのため
■「自ら考える力」を育む
■選手は自ら育つという構え
■コーチング主体の押し付けない指導者像
■野球を楽しむチームの試合への向かい方
■主体性のある練習を組み立てるには
こういった考えは野球だけでなく全てに通用するのではないでしょうか。息子が小学生の時から柔道をしていますが、柔道にもあてはまります。柔道の指導者は時代遅れの人がまだたくさんいます。勉強もそうです。無理やり塾で詰め込んでも偏差値の高い大学に入っても社会人になって使い物にならない人がたくさんいます。タイトルにあるよう社会人になって仕事をするうえでも重要なことです。自分の頭で考え主体性を持って行動することがどんなシーンにおいても重要なことではないでしょうか。
医学においてもそうです。ガイドライン(治療手引書)に、この病気にはこういう薬を使いますと書いてあるからといって果たして本当にその薬でいいのか、その治療方法でいいのか自分の頭で考えながら治療すべきです。乳がんの治療を例に挙げますと、かつては世界中で、乳房やリンパ節とともに胸の筋肉を切除する方法(胸筋合併乳房切除術:ハルステッド法)が多く行われていましたが、現在では、胸筋を温存する手術(胸筋温存乳房切除術:ペイティ法、オッキンクロス法)が標準的な手術方法となっています。ごっそり切除した方が再発がないと昔の外科医は考えていたのでしょうが、ごっそり切除しなくても治療成績が変わらないというエビデンスを示した外科医がいたために温存術が標準治療になったわけです。
分子整合栄養療法は、薬を使った対症療法ではなく、生化学・生理学的な知識をベースに症状・病態の原因を突き止め、不足栄養素の補充によって根本原因を是正する治療です。起立性調節障害、慢性疲労、うつ症状、機能性不妊症、アトピー性皮膚炎などの栄養欠損が背景にある疾患は薬では治りません。しかし、適切な栄養アプローチをすればびっくりするくらいによい結果が得られます。私の分子整合栄養医学の師匠からご指導いただいたことですが、詳細な血液検査や問診等をもとに、この患者さんの体内、細胞内ではどういうことが起きて症状や病気を引き起こしているのかを常に自分の頭で考えるようにしています。「森山さん」のフレーズをお借りすると「Thinking Medecine」の精神で診断治療にあたっています。