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栄養療法を希望されて受診した患者さんにはまず血液検査を実施します。結果がでたら、血液データの解析結果と症状や血液データに応じた栄養処方案を作成し患者さんに説明します。人間の身体は複数の栄養素からできていますので、○○さえ摂ればOKというわけにはいきません。症状の原因と思われる栄養欠損が複数あれば、それらをすべて摂取しなければ症状や病態の改善は得られません。また細胞の分子濃度が正常な状態に戻らないと治療効果は表れません。栄養療法は容量依存性に治療効果を発揮するので摂取量が少ないとこれまた治療効果がでません。先日も、ある患者さんが1粒ずつ飲んでいこうかな、みたいなことをサプリメントを受け取った受付で言われたらしく、受付のものが「水不足でしおれかかっているお花も、スプーン1杯の水をあげても元気になりませんが、コップ数杯のお水をあげると元気になるように、栄養素も少量摂取では効果がでないので処方案の通りに飲んでください」と説明したら、患者さんも「はっ」と気付いたらしく、「分かりました、処方案通りに飲んでみます。」と言われたそうです。
サプリメントの摂取量が多いと、過剰になるのではと心配する人も多いです。また、「自分の飲んでいるビタミンは1日○○mgとなっているのにこんなにたくさん飲んでもいいのか?」とか「食事摂取基準量の上限をオーバーしているが大丈夫か?(ビタミンAがよく過剰を心配されます)」と言う人がいます。根拠のない摂取基準量など守っていると病態は改善しません。ビタミンAも天然のレチノールなら過剰になりません。厚労省の食事摂取基準では成人男性のビタミンAの耐容上限量が2700μgと定められていますが、その2倍量くらいはアトピー性皮膚炎やニキビの患者さんに普通に飲んでもらっています。癌治療の場合などは耐容上限の5~8倍量を飲んでもらうことがありますが、4~5年以上飲んでいる人でも全く副作用など起きません。
薬は異物なので解毒排泄しないといけませんので、量が多すぎると副作用がでます。サプリメントでも合成のビタミンAやビタミンEは天然のものとは違う体内動態(異物と同じような代謝をされる)になりますので、合成のものを大量に摂ると副作用がでる危険性があります。そういったことをきちんと考えて処方していますので、過剰を心配せず、むしろ不足を心配して処方案通りに飲んでもらいたいです。