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副作用議論

薬物療法を受けるにあたり、多くの人が関心を持つのが副作用だと思います。抗癌剤の副作用のことはみなさんもご存知だと思います。抗癌剤は癌細胞を殺す薬ですが、癌細胞だけ死ぬわけはなく正常細胞もダメージを受けます。病気は薬で治すものだと医者も患者さんも思い込んでいるので、栄養療法を受ける患者さんも副作用のことを心配します。栄養療法で使うのは薬ではなく栄養素です。栄養療法は食事だけでは不足している細胞の構成分子をサプリメント(栄養素)として取り入れる治療なので、食事療法の強化版と考えていただいたらよいかと思います。糖尿病、脂肪肝、脂質異常症などで食事療法をする場合に、副作用のことを聞く人はいません。しかし栄養療法になるととたんに副作用のことを心配する人がいますが、これは薬と栄養素の違いを理解できていないからです。
また過剰のことを心配する人も少なくありません。これも薬と栄養を混同しているためかと思います。薬は異物なので過剰摂取すると副作用が起きます。適正量でも副作用が起きることもあります。しかし、栄養素は体内に存在する分子・利用されている分子なので副作用は生じません。また、栄養素の不足によって不調や病気が引き起こされているので、心配すべきは不足の方なのです。栄養療法は容量依存性に治療効果を発揮しますのである一定量以上を摂取しないと効果が出てきません。過剰を心配する原因としては、摂取基準量というものに惑わされているからです。栄養素毎に摂取基準量を厚労省が定めていますが、基準量を超えたら過剰というものではありません。不足によって病気を発症しないために必要な最低限の量と捉えるべきです。また耐用上限量というものがありますが、どういう根拠で設定されたかよく分かりません。私など、ビタミンA・B・C・D・E・亜鉛など耐用量と言われている量をはるかに超える量を摂取していますが副作用などでていません。必要な栄養の量は個体差があるので一概に何mgと決める方がおかしいのです。成長期の子供、妊婦さん、トップアスリート、皮膚炎の激しい人などは栄養の需要が亢進しています。また人間の腸は賢いので、天然の栄養素は腸が吸収を調節してくれますので過剰の心配はありません。しかし、人工的なサプリメントは過剰になることがあります。一番危険なのがキレート鉄です。
国語の文章題の試験では、筆者が何を言いたいのかを問う問題がでます。また、あの人の話は何が言いたいのかよく分からない、要領を得ない、と話になることがありますが、その逆もあり、説明する内容をきちんと理解できない人もいます。何を言いたいかというと栄養療法は根本的な治療でかつ副作用がない安全な治療だということです。ステロイドの塗り薬を処方する皮膚科医もピルや女性ホルモン剤を処方する産婦人科医も、自分の処方する薬に副作用があると思っていません。ですから、薬を処方した医者に副作用はないんですか?と聞いても「ありません」とか「ただしく使えば大丈夫です」とか「日本人は欧米人に比べて乳がんにはなりにくいです」などと答えます。決して、副作用が怖いですよ、とは説明しません。そんなことを言うと患者さんも怖がって薬を飲んでくれず商売あがったりになります。私は栄養素に副作用がないと考えて栄養処方をしているので、私に副作用がないか聞いても皮膚科医や産婦人科医と同様に「副作用はありません」と答えますので、処方医に副作用の有無を尋ねるのはナンセンスとも言えません。セカンドオピニオンを求めるか自分で生化学・生理学・薬理学などの本を読んで調べるしかありません。
これから栄養療法を始めようと考えている方は、栄養療法は食事療法の強化版のようなものなので薬のような副作用がなく根本的な原因を是正する治療だということをしっかりと頭に入れておいてください。