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日本人のビタミンA摂取量は減少傾向にあり、ほとんどの世代で不足しています。栄養素の食事摂取基準量というものを厚労省が定めていますが、これはあくまでも健康を維持するための最低の摂取量です。患者さんも、ビタミンAの摂り過ぎはよくないんですよね?とよく聞かれます。特に産婦人科医は妊婦さんにビタミンAを摂り過ぎないようにと指導します。この迷信はいつまで続くのでしょうか?
生化学者のフレデリック・ホプキンズが、牛乳を与えるとマウスが正常に発育をすることを発見し、この牛乳に含まれる栄養素をfat-solubule Aと命名。これがのちのビタミンAだったのです。つまり、ビタミンAは分化に欠かせない栄養素なのです。摂りすぎると奇形になると言われていますが、その逆で不足すると正しく細胞が成長しないのです。不妊とも関係があり、男性の場合ビタミンAが不足すると精巣が萎縮しますので、精子に異常がある場合はビタミンA・Dなどの摂取で質が大幅改善します。また、あるタイプの白血病もビタミンAで治癒することが分かっています。ちなみに、化粧品にはだいたいレチノールが入っていますが、これはビタミンAのことで皮膚粘膜結膜を正常に保つ作用があるからです。しっとりとした皮膚になるにはビタミンAは必須なのです。
天然のビタミンAの場合、レチニルエステル・レチナール・レチノイン酸などに体内で変化し、過剰にはなりません。ただし、合成のビタミンAの摂り過ぎには注意が必要です。