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月経(生理)とは、排卵すると妊娠に備えて厚くなった子宮内膜が妊娠が成立しない場合に剥がれ落ちる現象です。詳しく流れを説明しますと、まず脳の視床下部からホルモン分泌の命令(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が脳の下垂体に送られます。下垂体から卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌され、FSHが卵巣に届くと卵巣のなかにある原始卵胞を刺激し、そのうちのひとつが成長を始めます。発育した卵胞から卵胞ホルモンが分泌され、これが子宮内膜に働きかけて徐々に内膜を厚くしていきます。卵胞ホルモンの分泌量がピークに達すると、脳下垂体から黄体形成ホルモン(LH)が分泌されます。LHが卵巣に届くと成熟した卵胞は刺激され、卵子が卵巣の外に出ていきます。これが排卵です。排卵後、卵子が出ていった卵胞は黄体に変化し、黄体ホルモンを多量に分泌し始めます。このとき、卵胞ホルモンも少量ですが分泌されます。黄体ホルモンは、子宮内膜に働きかけ受精卵がいつでも着床できるように準備をします。妊娠が成立しないと、黄体ホルモンと卵胞ホルモンの量は激減し、子宮内膜もはがれ経血となって外に出ていきます。これが月経です。月経が2か月に1回しか来ない、半年以上月経が来ていない、不正出血がある、などの月経不順や月経異常の原因の多くは栄養やストレスと関係があります。
脳の視床下部は非常に繊細で、ストレスの影響を受けやすい部位です。精神的ストレス、マラソンなどのハードな運動(肉体的ストレス)、夜勤、などで視床下部の機能が落ちてホルモン分泌の命令がうまく出せなくなると、無月経になったり不順になったりします。またBMI(Body Mass Index)という肥満の程度を見る指数がありますが、BMIが18.5未満(痩せすぎ)ですと月経が停止する危険性があります。不適切なダイエットや一人暮らしのためコンビニなどで買って簡単に食事を済ませる女性は要注意です。糖質の摂りすぎもインスリンの過剰分泌を起こしホルモンバランスを乱しますので、適度な糖質制限も大切です。逆にBMIが30以上の太りすぎでも、脂肪細胞からのホルモン分泌の影響でホルモンバランスが乱れて月経が停止することがあります。
産婦人科では、ホルモン剤で無理やり月経を来させる治療が一般的ですが、根本的な問題を是正することが重要です。毎食きちんとタン白質・ビタミン・ミネラルの豊富な食事して適正体重にする、脳の下垂体を活性化させたり卵巣機能を改善させるビタミンEを摂取する、ストレスを軽減させる、規則正しい生活をする、ハードな運動は避ける、などを実践することで多くの月経異常は改善します。