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小学校高学年から中学生のお子さんで、朝起きられず学校に行きたくても行けないケースが少なくありません。そういうお子さんは血圧が低いことが多いので、大学病院などの小児科で最終的に起立性調節障害という変な診断名をつけられます。治療としては血圧を上げる薬(昇圧剤)を処方されますが、そんなの飲んでも効きません。起立性調節障害と診断されて薬を処方されるも症状が一向に良くならなくて困り果てた親御さんがインターネットで検索されて小学校の高学年や中学生のお子さんを連れてgdmクリニックを受診されます。朝起きられない、血圧が低い、こういった症状は、分子整合栄養医学的には鉄欠乏が背景にあると考えています。
鉄欠乏は様々な症状を呈します。鉄は血液のヘモグロビンの材料として多く必要とされていますが、その他に神経伝達物質セロトニンの合成やエネルギーを産生するトコンドリアなどに必要です。そのため鉄欠乏になると意欲の低下やエネルギー産生の低下が起きます。また鉄は循環動態にも影響を及ぼします。そのためヘモグロビンが基準値内にあっても鉄の貯金が少ないと、意欲の低下、朝起きられない、すぐ疲れる、頭が痛い、血圧が低い、といったことの原因になります。しかし、医学部では鉄の重要性を教えませんので私も分子整合栄養医学を学ぶまでは鉄欠乏でさまざまな症状が起きることは知りませんでした。鉄不足と起立性調節障害の関係をネットなどで知った親御さんは、主治医にフェリチンの測定をして欲しいと頼んでも「そんなの調べても意味ない」と一蹴されるそうです。たとえフェリチンを測定したとしても、幅広い基準範囲のせいで「基準範囲内に入っているので異常なし」と言われてしまいます。
分子整合栄養医学的な治療方法は、ヘム鉄の摂取になります。保険の鉄剤は非ヘム鉄なので活性酸素を発生させ胃腸障害を起こします。鉄は粘膜の材料としても重要なので、鉄不足の子供は嘔気、腹痛を普段から訴えることが多いので、鉄剤内服でさらに調子を崩すことも少なくないです。また吸収率が悪いのでなかなかフェリチンが増えません。ヘム鉄は活性酸素を発生させないので胃腸障害もありませんし、吸収率がよいのでフェリチンが早く増えてくれます。フェリチンが増えないといくら鉄を飲んでも症状が改善しません。
思春期は背が伸びるのに鉄が大量に使われて鉄欠乏に男子でも陥ります。女子の場合は月経が再開するとさらに鉄の貯金が減って体調を崩します。起立性調節障害と診断されてお困りの方は是非分子整合栄養医にご相談ください。