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「ある患者さんががんを再発したので高濃度ビタミンC点滴を希望されていますが、リンパ節廓清の関係で腕からの点滴はできないので下肢から点滴してもらえますか?」と代理の人からお尋ねがりました。がんに対する高濃度ビタミンC点滴はビタミンCの血中濃度が重要なので50g~75g点滴しないといけません。高濃度のビタミンC点滴は浸透圧が高くなるため、利尿作用があり点滴中にトイレに行きたくなりますので、下肢から点滴するとトイレの移動で点滴が漏れるから難しいです。前胸部にCVポートを留置すると血管を直接ささずに簡単に点滴ができるようになります。抗がん剤点滴をされる方はポートを入れている人が多いです。下肢からは難しいのでポートを入れてもらってはどうですかと代理人にお伝えしました。当人が主治医に高濃度ビタミンC点滴をしたいのでポートを入れて欲しいと伝えたそうですが、「そんなものは効くわけがない、効果があるなら保険適応される。今ポートを入れる段階ではない。」とけんもほろろに断られたそうです。
井の中の蛙大海を知らず的な発言です。ビタミンC点滴の理論も勉強していないくせに頭ごなしに否定するな、と言いたいです。効果があっても保険適応にならないものはいっぱいあります。薬は臨床試験をしてその結果を厚労省に提出して認可されないと保険適応なりません。ビタミンC製造に特許はないので儲けになりません。ですから製薬会社は臨床試験のように時間とコストがかかることはしません。鉄に関ししても、保険の無機鉄よりサプリメントで売られているヘム鉄の方が吸収率がよく活性酸素を発生させない優れものですが、これまた臨床試験・特許などの関係で儲けにならないので保険薬としては申請されませんから当然認可もされません。
ポート入れるのにそんなに反対しなくてもいいのではと思います。放射線科時代の1級後輩(去年教授に就任)に、今まで何度かポート留置の依頼をしてますが、すんなり受けてくれました。点滴を何度も刺していると血管が硬くなり針を刺す血管がなくなってしまうことがあります。また高濃度ビタミンC点滴は浸透圧が高いので血管痛を訴える人もいます。その点ポートがあれば血管を探す必要もないですし、血管痛もないので点滴を刺す方(医療者)も刺される方(患者さん)も楽です。
主治医に高濃度ビタミンC点滴のことを言っても反対されるケースが多いです。彼らは栄養素による病気の治療について勉強していないので知識はありません。主治医に内緒でビタミンC点滴をしている患者さんも少なくありません。知らないことについては分からないと言って言及しなければいいのにと思います。