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NHKのTV番組(あしたが変わるトリセツショー)で鉄が取り上げられていました。NHKさんにしては調査不足で、100点満点とは言えないトリセツだと思いました。健康診断でヘモグロビンは基準値内にあるけれど隠れ貧血の人が多い、貯蔵鉄まで調べないと鉄欠乏かどうか分からない、20代から40代に隠れ貧血が多い、などの説明はその通りです。鉄は、エネルギー産生、皮膚のコラーゲン合成、脳内神経伝達物質(セロトニン・ドーパミン・メラトニンなど)に必要なので、不足すると倦怠感・易疲労、肌のたるみやこじわ、意欲の低下・イライラ・睡眠障害などが起きます。
気になったのはヘム鉄、非ヘム鉄の区別をしていないことです、。そして成人男性には鉄不足になる人があまりいないのに、症状だけで判断すると鉄欠乏が原因と勘違いして鉄を過剰に摂取してしまわないかということが気になりました。
植物性の鉄は非ヘム鉄なので、小松菜には鉄は多く含まれていても非ヘム鉄なので吸収率が悪いです。鉄の含有量ではなく、最終的にどれだけ吸収されるかを考えて食材を選ぶ必要があります。またマヂカルラブリーの野田クリスタル氏は筋肉マッチョ芸人として有名ですが、彼も鉄欠乏の症状に思い当たる点がいくつもあると言っていましたが、彼はおそらく鉄欠乏ではないと思います。成長期の男子は鉄欠乏の子が多いですが、骨や筋肉の成長が止まると貯蔵鉄は普通は勝手に増えてきます。成人男性で鉄欠乏になる人は稀で、胃のピロリ菌感染がある・鼻出血がある・痔出血がある・胃や大腸の出血する病気がある、ビーガン(動物性食品を食べない)といった限定された人になります。gdmクリニックでも男性には基本的にはヘム鉄を処方しません。血液検査でよっぽどフェリチンが低い場合には飲んでもらう場合がたまにある程度です。
症状が似ていても鉄不足が原因でないことも多い、ヘム鉄を意識して摂取すべき、男性の場合は血液検査で本当に鉄不足か確認してから鉄の摂取を決める、などをトリセツに付け加えていただけたらと思いました。