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ピロリ抗体偽陽性

先日、人間ドックでピロリ菌の抗体検査で陽性(抗体価31U/ML)を指摘された方の内視鏡検査をしました。内視鏡的には粘膜の炎症や萎縮はなくピロリの感染は否定的でした。抗体価が高かったので念のため培養検査をしましたが、やはり陰性でした。抗体価が10前半U/MLくらいの場合、ピロリ菌感染していないという例は時々経験しますが、抗体価が30U/ML超えているケースは初めてでした。
ピロリ抗体の測定方法にLA法とEIA法があり、LA法は感染していなくでも抗体価が高くなることがあるようです。IgG抗体というタン白質の一種を測定しているのですが、偽陽性になるということは、ピロリ菌のIgG抗体に似た抗体や何等かのタンパク質に反応しているのかなと思います。逆に低γ-グロブリン血症(免疫不全)の人はIgG抗体が殆ど作れないので、ピロリ菌に感染していてもピロリ抗体は陰性になることがあります。以前、ピロリ抗体が陰性なのに内視鏡検査をすると胃粘膜の炎症と萎縮を認め、培養検査でピロリ菌陽性だった患者さんがいました。その方は、低γ-グロブリン血症でした。
抗体検査だけではピロリ菌の感染があるかどうか確実に判定することが難しい例があるというのを改めて感じました。やはり一度内視鏡検査をして粘膜の状態をチェックするのが望ましいと思います。