鉄の貯金がなかなか増えない場合

女性の場合、月経で鉄を失うので、ヘム鉄を摂取してもなかなか鉄の貯金が増えない人は珍しくありません。成長期の男子には、骨・筋肉の成長や造血のために鉄の需要が亢進しているのでヘム鉄の処方をしますが、基本的に成人男性にはヘム鉄の処方はしません。鉄の需要がさほど多くないので、食事で肉をきちんと摂れば鉄の貯金は増えるからです。しかし、成人男性でもなかなか鉄の貯金が増えない人や逆に減っていく人がいます。そういう場合は、胃や大腸に問題ないか調べます。胃や大腸のがんや大きな大腸ポリープから出血して鉄を失うことがあるからです。またピロリ菌感染があるだけでも鉄欠乏になることがありますので、これまた胃の内視鏡検査が必要になります。ピロリ菌感染がある場合は、除菌すると鉄の吸収がよくなり鉄欠乏が改善します。胃や大腸に問題なく、痔出血・鼻出血がなければ、単純に鉄の吸収が悪い人ということになります。そういう場合は、鉄の摂取量を増やす・吸収をアップさせる栄養素を一緒に摂る、ということになります。