blog

思考回路の違い

分子整合栄養医は血液データを読むのが仕事です。検査項目の生化学的な意味あいなどを考慮しながら、身体の中でどういう栄養が不足しているか、どういう変化が起きているかを類推していきます。定期的に血液検査をしていると、急にある値が高くなったり低くなったりすることがあります。そういう場合は、体内でいつもと違う変化が起きているのではないかと疑え、と師匠に指導されてきました。
よくあるのがフェリチンの変化です。フェリチンが急に下がった場合、一番に考えるのが出血です。月経のある年代の女性なら下がることも珍しくありませんが、男性や閉経した女性のフェリチン値が下がった場合は消化管出血があるかもしれないと考え、胃や大腸の内視鏡検査を勧めます。師匠は、フェリチン値低下の人に、内視鏡検査を勧めて何人も胃や大腸の癌が見つかったとよく言われていました。先日もフェリチン値が下がった人がいたので、最近大腸の内視鏡検査をしていないのなら一度受けてくださいね、とお話ししました。gdmクリニックでも大腸内視鏡検査をしているのですが、その方は家の近所の内科医に行って「フェリチン値が下がったから内視鏡検査をしたほうがいいと言われたんですが」と医者に伝えたそうです。すると「フェリチンの値は基準範囲内にあるから内視鏡などしなくていい」と言われたとのこと。
基準値を正常値だと勘違いしている医者が大半です。血液データの変動の意味を考えていない医者が多すぎです。かくいう私も勤務医時代はそんなもんでした。分子整合栄養医学の勉強を師匠の指導のもとでやったからこういう思考回路になれたわけです。他の医者に理解されなくても、患者さんの病気の診断や早期発見ができれば私はそれでいいです。