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起立性調節障害という病名は正しくありません

朝起きられなくて登校できない児童生徒が多いです。朝起きられない以外に、身体がだるい、意欲が湧かない、頭痛がする、といった症状をよく伴います。こういった症状がでると、小児科を受診し、血圧の変動の検査などをして「起立性調節障害」という病名がつきます。しかし、起立性調節障害という病名は病態を正しく表していませんので私は使いたくない診断名です。朝起きらない原因は、自律神経の関係で血圧が変動するからではありません。エネルギー産生がうまくいかないことが最大の原因です。エネルギー産生は細胞内のミトコンドリアで行われますが、ミトコンドリアできちんとエネルギー産生するには、鉄、ビタミンB群、CoQ10などの栄養が必要です。成長期には特に鉄欠乏に傾いています。鉄欠乏以外の原因としては、機能性低血糖症の頻度が多いです。炭水化物中心の食事やお菓子やスポーツドリンクの摂り過ぎは、血糖が急上昇し、それに呼応してインスリンが大量分泌され血糖が低下してしまいます。血糖が低下するとアドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンが分泌され自律神経のバランスが乱れることによる体調不良も加わります。
生活のリズムの乱れ、スマホのし過ぎ、睡眠ホルモンの材料となる栄養の不足などで夜なかなか眠れないと当然朝起きる時間も遅くなってしまい登校できないという生徒も少なくありません。日中適度に運動する、早く就寝する、日光を浴びる、睡眠ホルモンの材料となる肉をしっかり食べる、といったことも大切です。
いずれにせよ血圧低下で朝起きられないと考えて治療する(降圧剤の処方)から症状が改善しないのです。朝起きられないのはエネルギー不足と考えて治療すべきです。診断のためには分子整合栄養医学的な血液検査が必要になりますので、起立性調節障害と診断されてよくならない場合は分子整合栄養医にご相談ください。