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「薬がなくなったから来ました」、とよく言われる患者さんが時々いますが、「薬を出したことがない患者さんなのにな」、と思いつつカルテを見ると薬ではなく栄養素を飲んでもらっている人で、栄養素のことを薬だと思っているわけです。医療機関で出されるものは全て「薬」と思っているのかもしれません。しかし、薬と栄養素は全く違うものです。薬は人間にとって異物なので、解毒排泄しないといけません。本来体内で起きない化学反応を無理やり起こさせるもので、大なり小なり副作用もつきものです。しかし、栄養素は人間の細胞を構成する成分(生体内分子)なので、そのまま利用(多少肝臓で修飾され場合もありますが)できますし、当然解毒する必要もありません。また薬は量を多く摂取すると副作用が起きることが多いですが、栄養素は多く摂取したからといって副作用は基本的に起きません。ビタミンCは100g点滴しても、利尿が起きるくらいでたいしてことは起きません。また口から摂取して腸から吸収させる場合は、腸が判断してくれて、充足している栄養素の場合は吸収を調節してくれますので過剰の心配はありません。しかも体調不良の原因は栄養欠損であることが殆どなので、過剰を心配するよりも不足の方が問題なのです。栄養療法は容量依存性に効果を発揮しますので、摂取する量が重要です。データが改善する量がその人にとって必要な量になります。月経のある年代の女性の場合、鉄を1日6粒摂取してもなかなか鉄の貯金が増えない人もいるくらいです。
まとめ:栄養素は薬ではなく生体内分子、過剰を心配するよりも不足を問題視すべき