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起立性調節障害と診断された場合

朝起きられない、だるい、頭が痛い、お腹が痛い、めまいがする、意欲が湧かない、などの症状で登校できない児童生徒が少なくありません。このような症状で小児科を受診すると、たいていの場合「起立性調節障害」と診断されます。治療は、血圧を上げる薬や漢方薬などですが、効果は殆どありません。
登校できない原因としては複数あると考えています。①鉄不足等によるエネルギー産生不足、②機能性低血糖症、③精神的な問題、の3つが原因として多いようです。いずれにしても昇圧剤は意味がない治療と言えます。起立性調整障害で検索すると、整体治療が上位にヒットします。実際、当院に受診された方の中に、すでに整体治療に行かれている人も結構います。しかし、整体治療も上記3原因には無効と思います。自律神経の乱れが関与している場合にのみ効果があるかと思います。
起立性調節障害は思春期に起こります。思春期は成長が著しいでの鉄、タンパク質、ビタミンB群などの栄養の需要が亢進しますので、エネルギー産生不足になります。治療は鉄などの不足栄養素の補充につきます。機能性低血糖症は、糖質の摂り過ぎでインスリンが過剰分泌されて血糖値が低下する病態ですので、パン・麺類を控える、スポーツドリンクを止めて麦茶にする、アイスなどの甘いものを止める、タンパク質をしっかり食べる、といった食事療法しか改善方法はありません。最後に、精神的な悩み(対人と接することのストレス、不安など)の場合は、栄養療法で根本的に改善させることはできません。第三者からみてそうだとすぐわかっても親御さんはなかなかそれを認めたくないのか、子供のことなので客観的に見ることができないのか、栄養でなんとか治らないかと思ってお子さんを連れて来られるケースがあります。精神的な問題が原因でも、栄養状態をよくしてセロトニンなどの有用な神経伝達物質を多く産生させることで多少症状は緩和されるかとは思います。いずれにせよ、原因に応じた治療をする必要があります。