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日本人の米離れが進んでいます。一人暮らしだと米を炊くのが面倒、食べきれない、などの理由もあるかと思います。米を食べなくなった一方で、パン、油脂、肉類、牛乳・乳製品の消費は増えています。また2011年に一般家庭の食料品への支出額で、初めてパンが米を上回り、2012年はわずかにコメが再逆転したものの、2013年以降パンへの支出が上回る状態が続いています。ちなみに私の住んでいる岡山にはパン屋さんが非常に多く、岡山は1世帯当たりの「パン」購入量が全国3位だそうです。
ダイエットのために糖質制限を行う人が最近増えたのも米離れの一因かもしれません。しかし、昨年のNHKスペシャルで、日本人は米(ご飯)を食べても太りにくい体質の人が多いということがわかってきた、という内容の特集をしていました。ご飯を食べても太りにくいその鍵を握るのはアミラーゼ遺伝子だそうです。アミラーゼ遺伝子は、唾液や膵液に含まれる消化酵素の一つであるアミラーゼ産生に関係している遺伝子です。アミラーゼは米などに含まれるでんぷんを糖に分解する酵素ですが、アメリカの研究者は、でんぷんをあまり食べない民族のアミラーゼ遺伝子は平均4~5個しかないのに対し、日本人などでんぷんを多く食べる民族のアミラーゼ遺伝子は平均7個であることを発見したとのこと。冒頭、日本人の米離れが進んでいると書きましたが、3千年前から、米が主食として栽培され食べられるようになり、つい50年前まで1日3合以上の米を食べてきた民族です。そのため、日本人はでんぷんを糖へと分解するアミラーゼがより多く必要となり、アミラーゼ遺伝子が増加したと考えられています。そして、アミラーゼ遺伝子が多いと太りにくい、という事実が明らかになっているそうです。アミラーゼ遺伝子が多い人と少ない人のBMIや体脂肪の量を調べた結果、アミラーゼ遺伝子が多い人は、有意にBMIが低く、また体脂肪の量も少ないことが英国での研究で判明しています。アミラーゼ遺伝子数が4個以下の人と、9個以上の人を比べると、4個以下の人の肥満リスクは8倍にも高まっていたそうです。つまり、アミラーゼ遺伝子の数が平均的に多い日本人は、ご飯を食べても太りにくい人が多いということです。では、「パンや麺類もでんぷんが多い食材を食べても大丈夫」、と思う人もいるでしょう。しかし、パンや麺類よりご飯の方がお勧めです。パンは水分量が少ないので噛む回数が少ない、麺類もやはりあまり噛まない、ラーメンはスープに脂質が多い、といったこともあり米飯よりも太りやすいようです。また、パン食からご飯食に変えたら低血糖症の症状が改善したという例もよくあります。ですから、炭水化物を摂るのなら白いご飯を食べることをお勧めしています。
分子整合栄養医学では極端な糖質制限をしない方がよいと考えています。糖質制限しすぎてエネルギー不足になると、低血糖になったり、体タン白質を分解して糖新生を行うためにタンパク質不足になったりするからです。砂糖の入ったお菓子や飲料、パンの摂り過ぎに注意しつつ1日3回毎食1膳のご飯と肉・魚・卵・豆類・野菜などをしっかり食べるのがよいかと思います。