blog
1年ほど前に大病院で起立性調節障害と診断治療されるも改善されない中学生男子が受診されました。その男子は、発症前は運動部で活発に活動していたのに、球に頭痛、吐き気、朝起きられない、という症状が出現して登校できなくなっていました。血液検査をしますとやはりフェリチンは10ちょっとしかありませんでした。成長期で身長も2年間で20cmほど伸びていたので、鉄などの栄養の需要が大幅に亢進し一気に鉄の貯金が減ったことが症状発症の原因と考えました。ヘム鉄の補充を開始し、定期的に血液検査をしてフェリチンの推移を見ていきました。ヘム鉄の摂取と背の伸びが落ち着いてきたために栄養の需要が減ったのとで、半年ちょっとでフェリチンは100を超え、普通に通学できるようになりました。男子の場合、生理で鉄を失うことがないので、背の伸びが止まれば自然でフェリチンは増え登校できるようにはなりますが、より早く症状を改善させるにはヘム鉄の摂取が必要になります。
大学や大病院での治療は昇圧剤、漢方薬です。インターネットでは整体治療で起立性調節障害を治します、と謳っているところも少なくありません。自律神経失調や精神的なストレスが原因ならば、漢方薬や整体で症状は改善するかもしれません。起立性調節障害と診断されている児童生徒の大半は何らかの栄養不足が発症に関係しているものと分子整合栄養医学的に考えます。ですから、まずは分子整合栄養医学的な血液検査をして細胞レベルでの栄養不足の有無を見ることが重要だと思います。鉄などの栄養不足があれば栄養アプローチを行い、顕著な栄養不足がなければ、漢方、整体、心療内科的な治療を受けるという順序が望ましいと思います。しかし、起立性調節障害と検索しても栄養療法は上位にヒットしませんので、世間の人には殆ど知られていないのが現状です。どねんかせんといけん、と思うとります。ブログでこつこつ情報発信する、治療実績をあげていく、といった地道な作業を続けるしかないんでしょうけど。