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鉄不足がうつ症状や慢性疲労の原因になることはあまり知られていません。医師ですら認識している人は殆どいませんので一般の方がご存じないのも仕方がないことだと思います。
ヘモグロビンが基準範囲にあると、鉄不足はありませんと診断されことが多いようですが、鉄の不足を正確に診るにはフェリチンを測定しないといけません。たとえフェリチンを測定していてもフェリチン値が基準範囲内にあると鉄不足はないと診断され、うつ症状や慢性疲労の原因を見落とされてしまいます。血液検査の基準範囲のことを正常値だと医師を含め多くの方が誤解しています。基準値は母集団の平均値の標準偏差のプラスマイナス2倍で設定されます。要は検査した人の95%が入るように設定されるので殆どの人が基準値内に入るのです。学校の試験でも平均点を下回ると成績が悪いと考えますが、血液データも平均値を下回り基準値の下限のあたりにあるものは栄養不足と診断しなければいけません。慢性疲労で大学の総合診療内科に通院中の患者さんの大学病院で行った血液データをみると、フェリチンが一桁しかないのに鉄不足を是正することなく経過観察されている方がいました。その主治医は基準範囲内に入っているので鉄不足ではないと診断しているのでしょう。総合診療科に紹介されたり通院したりしている患者さんの中には、単なる鉄欠乏が原因なのに治療されずに経過観察されている人がかなりいるのではないかと思います。
鉄はセロトニン合成やエネルギーを産生するミトコンドリアに必要なので、不足するとうつ症状や慢性疲労を引き起こします。鉄不足でおきているうつ症状の対して抗うつ剤を処方しても改善しないどころか副作用で余計に体調が悪化します。鉄は薬の代謝酵素にも欠かせない栄養素だからです。
抗うつ剤で改善しないうつ症状でお困りの女性は鉄不足の可能性が大きいので早めに分子整合栄養医の診察をお受けになることをお勧めします。