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ドーズレスポンス

血圧の薬などは1日1回1錠というふうに決まっています。間違って多く飲むと副作用の危険性が生じます。しかし、栄養療法で用いる栄養素は、1日1粒という飲み方では治療効果がでません。細胞、組織には本来あるべき栄養濃度というものがあります。そこから逸脱してくると細胞や組織の働きが低下し、様々な症状が出現してきます。細胞の栄養濃度を本来あるべき濃度に戻すことで症状や病態の改善がなされますので、早く栄養濃度を是正してあげることが重要です。そのためには不足分を補うだけの量を摂取しないといけません。少ない量をちびちびと1年飲んでも症状は改善しません。ある一定量以上摂取することで細胞の栄養濃度が正常化し病態が改善します。これをドーズレスポンス(容量依存性に治療効果があらわれる)と言います。
たくさんの量を飲むと副作用が出るのではないかと恐れる人がいます。先ほども書きましたが、薬はたくさん飲むと副作用出現のリスクが高まります。決められた量でも副作用が起きることはよくあります。それは薬が人間の細胞に存在しない異物だからです。異物は解毒排泄しないといけません。しかし、アミノ酸、鉄、亜鉛などの栄養素は、細胞を構成する分子=体内に存在する生体内分子です。ですから解毒排泄する必要もなく利用されるので薬のような副作用は生じません。ここが栄養素と薬の大きな違いです。
水不足でしおれかかった植物に、肥料をあげても元気になりません。水をスプーン1杯あげても元気になりません。コップで数杯水をどばっとあげると植物は息を吹き返します。不足しているものを必要な量だけあげることが重要なのです。これは人間も同じです。血液検査で不足栄養素、不足の程度をチェックしたうえで、栄養処方をしていますので、処方通りの量をきっちり飲んでいただくことが症状改善への近道になります。