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子どもの多くは、小学校5,6年くらいから中学にかけて背が急激に伸び始めます。身体が大きくなるということは、骨が伸びる、循環血液量が増える、ということになります。骨が伸びるにはタンパク質、鉄、亜鉛などが、血液を作るにはタンパク質、鉄、ビタミンB群などの栄養素が必要になります。
幼児のころには皮膚炎がなかった子が、思春期になって急に皮膚炎を発症することがあります。原因としていくつか考えられます。健全な皮膚を作るにはタンパク質、亜鉛、ビタミンB群などが欠かせません。ところが、成長期にはこれらの栄養素の需要が亢進していますので、これらの栄養が皮膚にまで十分届けられなくなると皮膚が弱くなります。皮膚には異物を侵入させないようにする働き(バリア機能)がありますが、皮膚の健全化に必要な栄養が不足するとバリア機能が低下して異物が侵入しやすくなり、湿疹や皮膚炎の原因になります。また中学受験や高校受験、対人関係、部活動などによるストレスもこの時期増えてきます。精神的、肉体的ストレスがかかると、副腎がストレスに負けないように抗ストレスホルモンを分泌します。ストレスが持続すると副腎が疲弊してしまい、副腎皮質ホルモンの分泌が低下して皮膚炎悪化の一因になります。ステロイドを塗る治療では、皮膚萎縮という副作用などによって症状がさらに悪化してしまいます。根本的な治療としては皮膚の材料をしっかり食べること、副腎を活性化させることになります。
皮膚炎よりも頻度が高いのが、朝起きられない、だるい、などの症状を呈する起立性調節障害です。原因は自律神経の乱れなどと言われていますが、殆どが鉄などの栄養不足が原因だと分子整合栄養医学では考えています。自律神経失調が原因だと思われているせいか、ネットで治療方法を検索すると、鍼灸、整体、漢方などによる治療を推奨しているケースが多いようです。自律神経失調が原因の場合は、鍼灸、整体、漢方治療で改善するかもしれませんが、このような治療を受けても改善しない場合は、自律神経失調が原因ではなく鉄などの栄養欠損によるエネルギー産生低下と考える治療方法を変えるべきです。
成長期は栄養が不足しがちです。日ごろの食事が炭水化物中心の家庭では、一気に症状が悪化することがあります。思春期に体調を崩した場合は、食生活を見直すこと、それだけでは改善しない場合は栄養療法をお受けになることをお勧めします。