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起立性調節障害の治し方

10歳くらいから高校生くらいまでのいわゆる思春期の児童や生徒の中に、朝起きられない、だるい、頭が痛い、などの症状で登校できない子が学年の中に何%かいます。以前は心の病気と思われていましたが、最近では起立性調節障害という診断名がつけられる身体の病気というふうにだいぶ認知されてきています。しかし、原因を理解している医療関係者が少ないのが現状です。岡山県のホームページでも、「起立性調節障害は、自律神経の不調から血流が滞ることで、朝、起きられないなどの身体症状が現れる身体(からだ)の病気です。」と説明しています。分子整合栄養医学的には、朝起きられない原因はいくつかあると考えています。一番多いのが鉄欠乏です。次に多いのが機能性低血糖症です。その他には副腎疲労症候群、自律神経失調などが挙げられますが、かなり頻度は低いです。
子どもは、オギャーと産まれてから中学生くらいまで背が伸び続けます。妊娠中母体に貧血がなければ、生まれたての赤ちゃんの貯蔵鉄は180ng/mlほどあると言われています。赤ちゃんは急激に大きくなりますので、造血や骨の成長などによって一気に鉄の貯金を食いつぶします。幼稚園、小学校の子どもの貯蔵鉄を調べる頻度が一般病院では少ないため認知されていないだけで、大半の子どもは貯蔵鉄が低く鉄欠乏です。ヘモグロビンも基準値を下回る子も少なくないです。殆どの子どもは潜在性鉄欠乏状態と言えます。また野菜中心のヘルシー?な食事(実は子どもにとってはかなり不健康な食事ですが)をされている家庭の子どもの多くはかなりの鉄欠乏状態です。ほうれん草などの植物性の鉄は、吸収率が悪いからです。そこに思春期の急激な成長が始まるとさらに鉄欠乏に拍車がかかります。骨の成長、循環血液量の増大によって鉄、タンパク質などが大量に必要になるからです。鉄はエネルギー産生や脳のセロトニンというやる気を出す神経伝達物質の合成に必要なので、朝だるくて起きられない、意欲が湧かない、やる気がでない、ということになり学校に行けなくなるのです。サッカーや野球を活発にしていた子が急にこういう症状がでて登校できなくなることも珍しくありません。また鉄は胃腸粘膜形成にも欠かせないので、腹痛、下痢などの胃腸症状もでやすくなります。頭痛、めまいなども鉄の貯金が少なくなると起きます。さまざまな症状がでるので、症状が多彩なので精神疾患と間違われることも珍しくありません。
医学部の講義では鉄に関することを詳しく教えてくれませんので、鉄不足で多彩な症状を呈することを私も分子整合栄養医学を学ぶまでは知りませんでした。朝起きられない、学校に行きたくても行けない、頭が痛い、身体がだるい、やる気がでない、意欲が湧かない、起立性調節障害と診断され治療を受けるもよくならない、こういったことでお困りのお子さんの症状を改善するには、原因を正しく同定しないといけません。それができるのは、小児科や内科ではなく分子整合栄養しかありません。なぜなら鉄の貯金フェリチンの過不足について正しく評価ができない(基準範囲が曲者)ことと、保険診療では吸収率の悪く胃腸障害の副作用が出やすい無機鉄の処方しかできないからです。フェリチンが増えないと症状は改善しません。フェリチンを増やすには吸収率のよい治療用の高含有量のヘム鉄の摂取になります。