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患者さんから「カルシウムを摂りすぎるとカルシウムが血管に沈着して動脈硬化の原因になるから摂りすぎないように」と医者に指導されたという話を時々聞かされます。CT画像などで心臓を養う冠動脈や大動脈によく石灰化を認めますが、カルシウムの摂りすぎが原因ではなく実はその逆でカルシウム不足が石灰化の原因なのです。
体内のカルシウムは99%が骨と歯に含まれ、1%が血液や細胞内に存在しています。血液中のカルシウムは、神経の情報伝達や血管や筋肉の収縮弛緩などに欠かせない重要な役割を担っていますので、カルシウムが不足すると副甲状腺ホルモンが分泌され骨の中のカルシウムを溶かして血液中に送り込んで血中カルシウム濃度を維持します。ですから、よっぽどの病気(悪性腫瘍や副甲状腺機能亢進症など)がない限りは血中カルシウムの値は上がったり下がったりしません。つまり血液検査ではカルシウムの過不足を正確には評価できないわけです。カルシウム不足が慢性化すると副甲状腺ホルモンが常に分泌され、骨から過剰にカルシウムが送り出されることになり、余剰カルシウムは血管や脳などに沈着してしまいます。つまり、カルシウム不足が、逆に血液中のカルシウムの過剰を引き起こし、動脈硬化を引き起こすのです。
カルシウムはストレスが多いと尿中に多く排泄されてしまいます。日本の土にはカルシウムが少ないので不足しがちな栄養素です。しっかり小魚や乳製品などを食べてカルシウムを補うことをお勧めします。ちなみにマグネシウムはカルシウムの兄弟ミネラルなのでカルシウムとマグネシウムをセットで摂取するのがお勧めです。